年金制度は、老齢・障害・死亡について一定の要件を設定し、その要件に該当したものを、給付の対象としています。
障害年金は主に65歳までに初診日(障がいの原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。)のある方が受給者となります。
初診日のときにどの年金制度に加入していたかによって、受給する年金が違います。「国民年金」加入時に初診日がある場合は「障害基礎年金」、「厚生年金」加入時に初診日がある場合は「障害厚生年金」が請求できます。また「障害厚生年金」には軽い程度の障害が残ったときに支払われる「障害手当金」(一時金)もあります。
支給3要件
障害年金を受給するためには、初診日・障害認定日・保険料納付の3要件を満たさなければいけません。
初診日の要件
- 障害基礎年金
- 初診日において「国民年金の被保険者であること」または「被保険者であった者であって、日本国内に住所があり、60歳以上65歳未満であること」が必要です。また20歳前の病気やケガで障がいがある人も対象になります。
- 障害厚生年金
- 初診日において厚生年金保険の被保険者であること
障害認定日の要件
- 初初診日から起算して1年6か月を経過した日または1年6か月以内にその病気やケガが治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できなくなった状態に至った日も含む)を障害認定日といいます。この時点で一定の障がいがあると認められると、年金が受給できます。出生時から障がいのある方、また20歳前に初診日のある方(初診日から1年6か月後が20歳を過ぎる方は除く)は20歳時点で障がいの認定を行います。 認定日には例外もあります。
①
人工透析を行っている・・・透析を受け始めてから3か月を経過した日
②
心臓ペースメーカー、人工弁を装着した・・・装着した日
③
在宅酸素療法を行っている・・・在宅酸素療法を開始した日
④
手足の切断・離断・・・切断・離断した日(障害手当金は創面治癒日)
⑤
人工骨頭をそう入置換した・・・そう入置換した日
⑥
咽頭全摘出・・・全摘出した日
⑦
脳梗塞・脳出血などによる肢体の障がい・・・初診日から6か月以上経過し、医師が症状固定と判断した日
- 障害認定日に障がいの状態が軽くても、その後65歳誕生日の前々日までに重くなったときは障害年金を受け取ることができる場合もあります。(事後重症)
保険料の納付要件
- 障害基礎年金
- 初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに被保険者期間がある場合は、被保険者期間のうち保険料納付済み期間と保険料免除期間とを合算した期間が3分の2以上あること。(初診日の属する月の前々月まで被保険者期間がなければ、保険料納付要件は問われません)
- 特例
- 初診日が平成38年4月1日前にある病気やケガによる障がいは、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの1年間のうち保険料納付済み期間および保険料免除期間以外の被保険者期間(保険料未納期間)がなければ、保険料納付要件を満たします。
ただし初診日に65歳以上の人は除きます。
- 障害厚生年金
- 初診日の前日において国民年金の被保険者期間がある場合は、被保険者期間のうち保険料納付済み期間と保険料免除期間とを合算した期間が3分の2以上あること。
- 特例
- 初診日が平成38年4月1日前にある病気やケガによる障がいについては、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの1年間のうちに、保険料納付済み期間と保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間(保険料未納期間)がなければ、保険料納付要件を満たします。ただし初診日に65歳以上の人は除きます。
受給できる年金金額
- 障害基礎年金(令和6年度)
- 障害基礎年金は定額です。1級と2級しかありません。
- 1級 816000円×1.25=1020000円(+子の加算額)
- 2級 816000 円 (+子の加算額)
- 子の加算額 子2人まで 1人につき234800円
- 子3人目から 1人につき78300円
- 子についての要件・・18歳になった後の最初の3月31日までの子
- 障害等級1級・2級の障がいの状態のある20歳未満の子
- 障害厚生年金(令和6年度)
- 1級 報酬比例の年金額×1.25+(配偶者の加給年金額)
- (+障害基礎年金1級)
- 2級 報酬比例の年金額 +(配偶者の加給年金額)
- (+障害基礎年金2級)
- 3級 報酬比例の年金額
- 612000円に満たないときは、612000円
- 障害手当金 報酬比例の年金額×2
- 1224000円に満たないときは、1224000円
- 報酬比例の年金額 = A + B
- A:平成15年3月以前の加入期間の金額
- 平均標準報酬月額 × 7.1251000 × 平成15年3月までの加入期間の月数
- B:平成15年4月以後の加入期間の金額
- 平均標準報酬額 × 5.4811000 × 平成15年4月以降の加入期間の月数
- 加入期間の合計が300月未満の場合は、300月とみなして計算します。
- 配偶者の加給年金額 234800円 (65歳未満であること)
障害年金の対象となる傷病の例
- 障害年金は病気やケガで、日常生活や仕事が制限されるようになった場合に請求することができます。障害年金が支給される障がいのレベルは、国民年金法施行令や厚生年金保険法施行令に定められています。また詳しくは障害認定基準で測られることになっています。 障害年金の対象となる病気やケガは、手足の障がいなどの外部障がいのほか、精神障がい、糖尿病やがんなどの内部障がいも対象となります。以下に例を挙げます。
- 目の傷病
- 障白内障、糖尿病性網膜症、緑内障、ブドウ膜炎 など
- 聴覚の傷病
- メニエール病、突発性難聴、観音性難聴 など
- 肢体の傷病
- 上肢または下肢の離断・切断、進行性筋ジストロフィー、脊髄損傷、関節リュウマチ、脳血管障がいによる後遺症 など
- 精神の傷病
- うつ病、双極性障害(そううつ病)、統合失調症、てんかん、若年性アルツハイマー、アルコール精神病、知的障がい、発達障がい、その他精神病 など
- 呼吸器の傷病
- 気管支ぜん息、じん肺、肺結核 など
- 心臓の傷病
- 心筋梗塞、狭心症、悪性高血圧症 など
- 腎臓の傷病
- 慢性腎炎、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、慢性腎不全、人工透析 など
- 肝臓の傷病
- 肝硬変、肝がん など
- 糖尿病
- 糖尿病、糖尿病と明示されたすべての合併症
- その他
- 悪性新生物(がん)、各種難病(パーキンソン症候群など)、化学物質過敏症 など